しばらく前、2月の半ば頃のことになりますが、MiguelがThe Evolution of Interactive C#というブログポストを投げていました。
The Evolution of Interactive C# - Miguel de Icaza
奇しくもわたしがDroidKaigi 2016でInstant Runについてのセッションを行う直前に公開されたもので、まあ幸い誰も気づかなかったと思いますが、完全にセッションのオチのネタバレだったんですね。 どうネタバレだったのかはスライドの最後の方を見てもらえれば分かると思いますが、
最後に触れているContinuous Coding、けっこう新しいネタだったので、誰も知らなかったと思いますが、先のMiguelの投稿でも触れられているんですね。
(そういえば、このセッション資料、先日のGoogle Developers Summit TokyoでもGoogle Japanの人に紹介していただいたそうです。インスタント実行とは関係のない文脈だと思いますが、いずれにしろ役に立つネタで良かった^2)
さ て、先の投稿でWorkbookについて言及していることに気付きましたか? 実はシークレットでも何でもなかったんですね。まあ、せっかくなので、Miguelが書いたネタを日本語でなぞってみようと思います。
Xamarin Evolve 2014で発表されたXamarin Sketches、皆さん覚えているでしょうか?
Sketches はIDEのpane上に描画されたREPL環境で、XcodeのPlaygroundによく似ていますが(と言ってもそれを誰でも使えるかたちで実現した のはXamarinが先なんだよね、みたいな話は↑のエントリで説明してあります)、この時のcanvasは確かXamarin.Macがベースになって いて、Miguelはこれを「みんなが実際にやりたかったことは、単独のスケッチを実行することじゃなくて、アプリケーションを実際に動かしながら描画す ることだったから、あまり便利じゃなかった」と回想していますね。そして、それで作られたのがXamarin Inspectorだった、というわけです。
Inspector は、その名の通り、UI要素の内容をinspectするために作られたものですが(それ自体はTest Cloudの要素でもあるXamarin.UITestや、そもそもAndroid SDKにはhierarchy viewerなんかも同じですね)、その内容を動的に書き換える機能もREPLの統合によって実現しています。Inspectorが面白いのは、UI要素 をクエリする部分と描画する部分を切り分けていて、描画する部分は基本的にHTML Canvasでやっているんですね。
Inspectorはまだプレビューですが、基本的にこの辺りのプロジェクトは全て繋がっているわけです。
ところで、ハッカーの皆さんには割とよく知られていると思いますが、Jupyter Notebookというプロジェクトがありますよね。
Jupyter Notebook、かつてIPython Notebookとして公開されていたプロジェクトですが(Miguelの先の投稿でIPythonって書いてあることに気付きました?)、まあ、要する に、これらは皆同じ「markdownの中に埋め込まれたREPL」の系譜です。Workbookの発想そのものは、特に新しいものじゃないんです。
Xamarin Workbook、面白いので、みんなこれを使ってドキュメントを書くといいと思います。と言いたいところなんですが、Workbookは Inspectorの一部で、Inspectorはオープンソースじゃないんですよね…まあ、コードが実行できなくても、サンプルコードフラグメントがド キュメントに含まれていて、それが実行可能だというのは有用なので、手元で動かせればいいという人はぜひ使ってみて下さい。
この Workbookも、Continuous Codingも、基盤として使用しているのはInspectorです。特にContinuous Codingはソースが公開されているので、使おうと思えば誰でも使えるということがみてとれるかと思います。けっこう夢がひろがりんぐだと思いませんか? (無理ですかそうですかそうですね。。)