こんにちは。そしてあけましておめでとうございます。30代C#プログラマーのatsushienoです。現在は捜査の手を逃れて国外逃亡生活を満喫しております。
さてさて、今日は水曜日(日本時間だと夜中)に発表されたXamarinの新しいリリース "Xamarin 2.0" その他について書きます。
http://blog.xamarin.com/announcing-xamarin-2.0/
スクショなどは取っていないので、適宜リンク先を見て楽しんで貰えればと思います。画像は適当に本家サイトから引っ張ってきています。
Xamarin 2.0
Xamarin 2.0というのは、遡ること9ヶ月前から現在に至るまでじっくり進められてきた新バージョン・新サービスのブランディングと言えます。全ての製品が刷新されています。どれも細かく追うと大変なので、おおまかに説明します:
(1) MonoDevelopのユーザーインターフェースを大幅に改良したXamarin Studio
ツールバーを大幅に簡素化し、コマンド体系をすっきりさせ、検索バーを統合し、モダンなルックアンドフィールのUIを実現しました。
http://docs.xamarin.com/guides/cross-platform/getting_started/introducing_xamarin_studio
コードエディタのツールチップにはAPIドキュメントの概要も表示されます(有る場合)。
Xamarin Studioは、根本的にはMonoDevelop 4.0(新バージョン)です。この新しいUIは、今もなおGtk#で書かれており、今githubにあるmonodevelopのmasterブランチをビルドすれば、この新しいUIが動作します(welcomeページなど各所でXamarin Studioとは違うものになるはずです)。
(メジャーバージョンが変わったため、MonoDevelop 3.0をターゲットにしていたアドインは、対応バージョンが公開されるまでは使えません。)
(2) Visual StudioにおけるiOSプロジェクトのサポート
Visual Studio addinとして、新しくiOSプロジェクトがサポートされました。
http://docs.xamarin.com/guides/ios/getting_started/installation/windows
Xamarin.MacとMac OS環境は依然必要です。アプリケーションをdeployするのにXcode / iOS SDKが必要であることに変わりはありません。MonoDevelopでMeego上のmonoアプリケーションをリモートデバッグできたのと同様に、Macに接続されたiOS DeviceあるいはMac上で動作するiOS Simulatorに対して、Visual StudioからリモートでXamarin.iOSアプリをデプロイしたりデバッグしたり出来る、ということになります(デバッガープロトコルがVS <-> Macホスト <-> iOSデバッグホスト <-> iOSターゲット の間でやり取りされている、ということになります。あーややこし)。
(Windows版Xamarin StudioにはiOSプロジェクトサポートはありません。Mac版 Xamarin Studioで普通に開発出来るので何も問題はないでしょう。)
(3) モバイル製品のブランディング変更とバージョンアップ
MonoTouchはXamarin.iOSに、Mono for AndroidはXamarin.Androidとなります。(互換性の問題などもあるので、表示は段階的に変わっていくことでしょう。) AndroidではMonoDroid→Mono for Androidに続く2度目のブランド変更になりますね。
#monotouchや#monodroidといったtwitterハッシュタグは今後も使われると思います。
ちなみに、名前が変わっただけではなく、Xamarin 2.0のリリースの一環として、Xamarin.iOSもXamarin.Androidも新しいメジャーリリースが公開されています。
- http://docs.xamarin.com/releases/ios/xamarin.ios_6/xamarin.ios_6.2
- http://docs.xamarin.com/releases/android/xamarin.android_4/xamarin.android_4.6
(4) コンポーネントストア
Xamarin製品ユーザーを対象とした、ライブラリ・コンポーネントを、このwebサイトを通じて、配布したり販売したりできます。既にサードパーティコンポーネントがいくつか公開されていますね(Microsoft謹製のWindows Azureコントローラーとか)。無償パッケージを配布することもできます。Unityのasset storeみたいなものですね。
そして、コンポーネントストアはXamarin Studioと統合されています。NuGetがVSに統合されているのと似たような感じですね。
コンポーネントの使い方については、このウォークスルーガイドを見てください。
http://docs.xamarin.com/guides/cross-platform/application_fundamentals/components_walkthrough
(5) ライセンスエディションの変更
これまでのProfessional / Enterpriseという2レベルのライセンスから、Starter / Indie / Business / Enterprise という4段階になり、さらにTrial版も追加されました。
Starterは長らく要望されていた「デバイスにデプロイできる無償版」です(アプリケーションサイズが32KBになるという制限があります)。Indieは、個人/小規模開発者をターゲットとして、Visual Studioが使えないとか、WCFが使えないとか、LLVMによる最適化が無いといった制約のあるエディションとなります。
Trial版は、機能的にはEnterpriseと同等ですが、作ったアプリケーションは一定期間で使用期限が切れ、起動時にもTrialの表示が出ます。
従来版を使っていた場合のライセンスは(アップグレードも含めて)どうなるのか?とか、各ライセンスの具体的な違いは何か?といったことは、FAQとしてまとめられているので、そちらを見てください。(わたしもよく把握していない部分があったりなかったり…)
http://xamarin.com/xamarin-2.0-faq
(6) webサイト
最後に、Webサイトも大幅に手を加えられています。トップページからも段階的にたどれますが、これらのページは特に新しいはずです:
http://xamarin.com/tour - 最初のガイドページ
http://xamarin.com/how-it-works - (ごく大まかな)Xamarin製品の仕組み
http://xamarin.com/faq - FAQ *1
アプリケーションのショーケースなど、以前からあるページも、いろいろ手が加えられています:
Xamarin Evolve 2013、そして今後の予定
Xamarinでは4月の中旬に、Xamarin Evolve 2013という、モバイル.NET開発者をターゲットとした自社カンファレンス(!)を開催することにしています。
米テキサスで行われるので、英語が理解できて参加費がなんかしらの形で出せてC#モバイル開発に興味のある人(!!)はぜひどうぞ。Xamarinのメンバーは世界中から集まりますし(わたしも参加します)、Microsoft(のshanselman)やgithubなどのこの方面の開発者も集まってくるようです。米国のユーザーコミュニティからも来るでしょう。
まあ米国のイベントに参加するのは金銭面ひとつとってもたいへん敷居が高いと思うので、日本でもローカルに何かしらセットアップしたいと思っています。(はいえ当面日本に戻る予定はないので、しばらく先にはなると思いますが…)
あと、新バージョンをリリースしたばかりですが、今後の計画もいろいろ進められています。一番大きいのはmono 3.0ベースに移行する(C# 5のサポートなど)という話があります。また、.NETのラウドマイノリティwであるところのF#コミュニティがXamarinのサポートに積極的なこともあって、F#サポートはXamarin製品でも積極的に対応していくようです。てかわたしがなんの因果かAndroidとXamarin.Macの対応作業をやっていた(いる)のですが…。Evolveの頃には、これらのアップデートが発表されるんじゃないかと思います。
あ、ちなみにF#erの皆さん向けには、Xamarin Studio 4.0でも動くはずのFSharpBinding addinの野良ビルドがあります。(Mac/Linuxでしか確認していませんが)
https://dl.dropbox.com/u/493047/2013/01/MonoDevelop.FSharpBinding_3.2.12.mpack
何はともあれ、いちど新しくなったXamarin 2.0を動かしてみてください。
追記
各種ニュースサイトで取り上げられています。ArsTechnicaの記事がたいへん詳しいです。
窓の杜も。日本語だしローカルで動かして撮ったスクショですね http://www.forest.impress.co.jp/docs/news/20130221_588816.html
*1:支払い方法にbitcoinが含まれているのとか、気づきました?