技術書典4新刊によせて

はいどーも! atsushienoです。今回は技術書典4の新刊のお知らせです。

Xamarin Mythbusters / MonoDevelop Masters Book

技術書典4におけるサークルXamaritansはき01、新刊はXamarin Mythbusters / MonoDevelop Masters Bookです。

techbookfest.org

見本ページなどもサークル用のgithub.ioページで公開しています。

今回のサークルの方針

今回はサークルの方針をどうするか、とても悩まされる回になりました。わたしとしては個人としてとにかく音楽技術系のネタを出せるようにしたいので、これは自分だけになりそうだな…というか音楽系で書ききるネタ無いな…でも売り子さんいないと自分が当日イベントスタッフで狩り出されるからサークルとしてアウトになる…*1という事情から、サークル申込がFIXしてサークル名が確定する頃には「やっぱXamaritansとしての新刊は出すべ…」というモードになりました。

(「出ない」という選択肢もありましたが、Xamaritansの本がまだ割とあるので、もう少し売り出しておきたいなあという気持ちです。5月末まではboothでも販売するつもりなのですが、在庫管理費が爆上がりする予定なので、今後はオンライン販売もしなくなる予定です。)

それで執筆者を募集し始めたわけですが、それまでずっと「今回は(音楽で)自分だけで出そうかな〜」みたいなモードでtwitterなどにも書いたりしていたので、執筆者が集まる感じにはならず、とりあえずスタッフは何とかなるやろ…という感じで3月から1人で1冊書いて体裁が整うであろうMonoDevelop本を書くことにしました。これが、本書の大半が"MonoDevelop Masters Book"となった経緯です。

第1章(Xamarin.iOS

3月も後半になってきて、いよいよ売り子がいなくてヤバいしどうにかしないと…となっていたところに、ひらのさん @ailen0ada がひとつiOSネタで書いて売り子もしてくださるというので、お願いすることにしました。それで上がってきたのが、第1章のXamarin.iOS に翻弄されないために ̶̶ その傾向と対策です。

技術書典の新刊の案内を出す時に、いつも各章の内容を広告過剰気味に(!?)まとめるのですが、この記事は掛け値なしに、ひらのさんレベルの開発者が開発中の問題に遭遇した時に、どうやってxamarin-maciosのソースコードまで踏み込んで問題を解決するか、というやり方が文字で読めるようになっている貴重なものです。

残り(MonoDevelop

そういうわけで、残りは全てMonoDevelopのコンセプト・アルバムのような内容です。MonoDevelopを素の状態で使っている人は多くないかもしれませんが、Xamarin StudioやVisual Studio for MacはUnityも含めて幅広く使われているはずなので、これらを使ったことがあって、何となくどんなものか分かるという開発者が第一の対象読者ということになります。

ただ、MonoDevelop本といっても、MonoDevelopの使い方みたいな誰でも書ける(?)話を書くつもりは無かったので、今回の内容はMonoDevelopは何で/どのようにIDEなのか?という観点で、機能と仕組みを解説しています。IDEはアドイン機構を使って自分の好きなように機能追加できるし、何ならC#テキストエディタデバッグサポートだってアドインなんだし、それらはこれこれこういう感じで実現しているんだ、といったことが分かるように解説するようにしています。あと、何より、MonoDevelopの開発スタート当時から観察しているわたしだけしか知らなそうな話をまとめたりもしているので、歴史記録係(?)としての役目をひとつ果たしたような気持ちになっています。

当初は「少なくとも30ページ、がんばって50ページくらいは書いて1冊の本としての体裁が整うようにしたい…」というローなテンションで書いていたのですが、最終的にはこの部分だけで100ページ弱になってしまいました。

本編は以前の執筆メンバーでもある中澤さん(@muo_jp)と杉田さん(@toshi0607)のおふたりから神レビューをいただいて、読み進め方に難のあった部分などを多々修正できています(本当にありがたいです)。

表紙

当初、今回も絵師に表紙をお願いしていたのですが、依頼して慢心していたら直前になって「本業が忙しくなって描けなそうだ」ということになってしまい、やべえ…と思いながら無理やりフリー素材*2をこねくり回して乗り切りました。

f:id:atsushieno:20180419085023p:plain

英霊召喚したつもりだったのですが、絵師に「猿が感電している」と言われてかなしい思いをしました() 絵師にはその後裏表紙をでっち上げてもらってpsdへのレイアウトもお願いできたので、この方面は助けていただきました。

MMLコンパイラmugeneによる音楽制作ガイ ド(あるいは、1週間で作るオンデマンド同人誌)

さて、実は今回もう1冊新刊があります(!?) 自作のMMLコンパイラのガイドブックです。

Xamaritansの入稿を終えた先週の後半から「もともと音楽技術系の本を出したいって言っていたのに、蓋を開けてみればXamarinサークルじゃん…これ自分が一番やりたかったことじゃないし何か間違ってる…!」という気持ちになり、それならせめてコピー本でもいいからなんか音楽ネタを出そう、と思ったのでした。とはいえ、いま着手しようと思っている方面はコードを書いてからでないと書く意味がなく、それならMML打ち込みまわりで現状をまとめたほうが良いだろうと、金曜の晩に腹づもりを決めて、土日の空いている時間で書くことにしました。

いざ書き始めてみると、土曜1日で20ページくらい上がって、しかし内容は予定の半分くらいしか出来ておらず、日曜も他の用事をこなしつつ集中して書いたら30ページくらいになってしまい、それでも7割方しか書けていなかったので、これはもう1日使おう、と決めて火曜に休みをとって、サンプルや画像を取り込んだら最終的に3日で48ページの本になってしまいました。

3日目は表紙をでっちあげる作業もしていました。こんな感じです。自分のUbuntu環境でCMYKなpsdを編集できるのはKritaしか知らないので慣れないKritaでやっています(しんどい)。表面はMIDIプレイヤーのスクショ、裏面はvscodeで開いたMMLのスクショというらくらく構成()です。まあでっち上げにしては悪くないのでは…(!?)

f:id:atsushieno:20180419082929p:plain

コピー本にするつもりだったのですが、こんなページ数ではホッチキスで止めるのも無理だし、電子版でいいか…とおもっていたのですが、中綴じのオンデマンド印刷で何とかなりました(印刷所に入稿できる本としてもギリギリのページ数)。間に合わないだろうと思っていたのですが、印刷所にも送れるタイミングで終えられたし、イベント4日前でも何とかなるもんですね。こんな短期間でできるとは。

いざとなったらこのペースで書けるのか…と思いましたが、これは単に「書ける」ネタで「やりたかったこと」だったからですね。人間、やっぱり一番やる気のある作業に着手させるのが一番生産性が高い、「仕事」なんかしているバヤイではないな、と改めて思った次第です(落合陽一っぽさある)。

内容は、MIDIMMLで作曲というびみょいジャンルの作業で拙作コンパイラをどう使えばいいのか、ギターとかベースとかドラムとかどうやって打ち込むの?という、ドキュメントとしてそのままgithubに放り込むのは妥当では無さそうな方向性で書いたガイドブックとなっています。2018年にMMLの本はさすがに売れねーだろ…!と思って、20冊だけ用意してありますが、まあ売れ残ると思うので(慢心)、ほしい方はのんびり来ていただければと思います。特にわたしがブースにいない時は誰にも説明できない内容の本ですので…

技術書典4での出展体制

今回は後半からわたしもイベントスタッフ業を離れることができることになったので、ブースに在籍することにしました。これまで自分が書いて回しているサークルなのに当日の内容説明なども全く出来ずに申し訳ない気持ちだったのですが、今回は(ちょっとですが)正常化されたかたちです。

理想としては、今後も出展するなら、当日スタッフ業は一切やらないというかたちで参加しようと思っています。準備期間も重なって、今なかなか厳しいものがあります*3。自分だけのサークルなら自分が売り子に立たないといけないし、自分がまとめるサークルでは無責任に回すわけにもいかないし…とか、そういう本筋ではないことで悩みたくはないですよね。

そんなわけで、今回までは流されっぱなしでしたが、今後はもう少し確たる方針でやっていこうと思います。

*1:イベントスタッフには他にも自分だけのサークルを持っているメンバーもいるのですが、TechBoosterのメンバーに売ってもらえるという恵まれた体制なので、事情が全く異なるんですよね

*2:Googleでlicensing filterかけた画像検索

*3:これも、必要だから書いているのに「遊んでいるのかな…」みたいな気持ちになってホントよくないんです