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2016年の終わりに感謝する作品集

毎年クリスマスまたは歳末に書いている恒例のエントリです*1。例によって今年初めて出会った作品がメインであり、今年リリースされた作品には限りません。

2015 2014 2013 2012

まずは音楽から。

Electrocutica "Piano Lesson"

electrocutica.com

アルバム"SWANSONG"は、最初、曲目を見て、何だよまた旧作だらけじゃねーか!と思って半ば冷めた目で見ながら聞いていたのですが、vocaloidではなく人が歌っているバージョンの完成度の高さに気付いてから、すっかり聴きこむようになってしまった1枚です。

その中でもPiano Lessonがすごい。…えろい。今年出会ったあらゆるものの中で圧倒的でしたね。雨音のパーカッションとそれを引き立てる(珍しく?)控え目なリズムセクション、存在感のあるアップライトピアノとメロディラインを弾いているはずなのに他の音の存在感を引き立てるエレクトリックピアノの対照的な繋ぎ合い、vocaloid版には無いミステリアスなモノローグの囁き、どれも繊細に作りこまれているのが分かる。ホワイトノイズ多めのサウンド構成のSWANSONG(8曲目)と比べてハッキリと聞こえるブレシングも、やはり意図的な構成でしょうか。モノローグが鬱展開(?)になるのに合わせて、輝度の高いストレートなエレピから、ロータリーのかかった沈み込むようなエレクトリックオルガンに切り替わる流れも、よく雰囲気を出しているし、そのままの不安定な構成でしばらく続けて不安感を描写するのもうまい。

Electrocuticaはその音作りがプログレッシブで面白いので昔から聴いていますが、これはひたすら美しさを受け止めるという新鮮な気持ちで聴けた作品でした。

Lemm "Atoropa"

www.youtube.com

2014年の終わりに「はやく復活しないかなあ」みたいに書いていたところ、もう復活されたということで嬉しい限りなのですが、戻ってきて出できた作品がいきなりすごい。初音ミクsweetを前面に押し出した基本的なテイストも、前衛的なリズムの楽曲も従来通りで、安心して聴けるのですが、サウンドプロダクションとかかなりレベル上がってる(というのは過去作品と比べて、それぞれの音がずいぶん聞きやすくなったという感想ですが、自分自身がそんな高度な技術をもっているわけではないし、適切な表現なのかは自分でもよく分かりません)。氏の昔の作品で聴かれる「音の洪水」とはずいぶん印象が違うと思います。

www.nicovideo.jp

しかも音楽だけじゃなくてこのPVまで自作とかすごい。去年書いた暗鳴ニュイの人もそうだけど、この界隈はマルチタレント多すぎでは…

それにしても、monochromiaのblindもそうでしたが、意味を理解しないで聴きたいくらいdepressingな歌詞を書くのに(「突き放す手で…触れてくれるの?」とか、ちょっと思いつけない)音のほうはこんなにencouragingなのか。皆に幸あれ。

次はソフトウェア。

Classeur

classeur.io

classeurはブラウザで動作するマークダウンエディタです。編集中にmarkdownの文法を解釈して強調や画像の展開などを行ってくれるので、AtomやVSCodeみたいな「単なるテキストエディタ」で、別タブのプレビュー画面と編集画面の間で視線を行ったり来たりするより、ひとつの編集画面だけでいろいろ完結できるので楽です。qiitaと違って「投稿」を意識することもないし、そのぶん草稿リストの管理もストレートです。

この草稿字体も(投稿先ははてなですが)classeurで書いています。

実装にはStackEditが使われていて、コレ自体はHTML5のoffline storageを活用しています。Google Docsが日本語IMEをinjectしすぎでバグバグで基本的な利用に支障がありすぎたので、しばらく前からStackEditに切り替えていたのですが、StackEditはだいぶnaiveなところがあって、ブラウザ環境が変わるとローカルストレージが切り替わるので結局Google Drive拡張などを使用して共有するしか無いのと、コンテキスト ドキュメントが1つしか開けないために複数ドキュメントを編集できないという致命的な問題があって、なかなか主要なエディタとしては定着できていませんでした。

Classeurはその辺りの問題をきっちり解決してくれていて、主にちゃんとWebサービス化しただけなんですが、UIもきれいに作りなおされていて、素人でもとっつきやすいエディタだと思います。

Visual Studio Code

VSCodeは、わたしがようやく最近のJavaScript/TypeScript事情を真面目に眺めてみようと思うようになった原因です。VSCode自身がnodeベースのOSSアプリで、それ自体が標準的なnpmのパッケージとして作られていて、アドイン拡張の基盤もnodeのやり方で開発できるので、ちゃんと勉強する意味があると感じさせてくれたものです。

また、VSCodeは、単なるbetter (あるいはin-house) text editorを目指して作られたものではなく、標準としていくつかのオープン プロトコルを提案しているところも魅力的です。この辺は既に紹介しているので(language server protocoldebug protocol)、それぞれ参考にしていただければと思います。どれも「VSCodeが初めて」というわけではありませんが、言語開発コミュニティにもエディタ開発コミュニティにも呼びかけて、全体としてバベルの塔状態を解消していこうとする姿勢は、とても新生Microsoft(本家)らしくて良いと思います。

最後に映画(珍しく)。

聲の形

今年はゴジラ、君の名は、この世界の片隅に…と、名作と呼ばれる日本映画がたくさん出てきた1年でしたが、個人的に一番響いたのはコレでした(意外にも同じ意見の人がわたしの周りにはほぼいなそう)。かなり予備知識無しで、CM動画だけを見て「単純な恋愛モノかな…?」程度の認識で見に行ったのですが、そんな要素はだいぶ隠蔽されていて(そうでもないか)、ひたすらchallengedな行き方を余儀なくされた聾唖者と、その周辺の人々のすれ違いを描写した作品でした。

あまりその魅力を語れる言葉が無いのですが、自分の状況にもある程度近いものがあり、1人で無理することなくがんばってやっていこう的な気持ちになったものです。

また来年も

心を突き動かされるような作品に出会えると良いなと思います。あと、他人にそうしてもらうだけでなく、自分でも何か出来るようになりたいですね。

*1:大元はコレだったんだけどもう誰も覚えていない気がしますね。